交通事故の後遺症逸失利益について
交通事故において、症状固定とされた後にも残存する症状などについて、自賠責の後遺障害の認定を受けることがあります。
細かい部分は省いて説明します。
交通事故の後遺障害は、1級から14級まで、それぞれ定められています。
例えば「両眼の視力が0.1以下になったもの」は6級に、「1眼の視力が0.6以下になったもの」が13級に規定されています。
後遺症が残った場合には、通常は労働能力の低下が予想されることが多いです。
上記のような視力の低下はもちろん、痛みや痺れなどが残存する場合でも、仕事の種類が限定されたり、事故前のような労働が出来なかったりすることも多いと思います。
このような場合、後遺症による逸失利益と呼ばれる損害賠償請求が考えられます。
計算は、
基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
で計算することが一般的です。
基礎収入額は、事故前の現実の収入額がある場合には、その額を基礎とすることが原則となります。
学生などの未就労者や家事従事者は、平均賃金を基礎とすることもあります。
労働能力喪失率は、後遺障害の等級によって概ね参考となる率が示されています。
多く発生している14級の場合には、5/100となります。
そのような率がある一方、例えば、見た目の問題、つまり、事故によって線状痕などが残ってしまったなどの場合には、その後遺障害と労働能力がどう結びつくのか争いになることもあります。
労働能力喪失期間は、通常は、働くことが一般的に想定される67歳までとされることが原則です。
ある程度高齢の方の場合には、別途の考え方もありますが、ここでは省略します。
また、ムチウチなどの場合、労働能力喪失期間が3年、5年などで制限されることがあります。
なお、ライプニッツ係数は、分かりにくくなるので説明は省略しますが、例えば5年分の逸失利益でも「×5」ではなく、「×4.3295」となります。
そうだとすると、仮に、ムチウチで労働能力喪失期間が5年の家事従事者の方の場合には、
354万7200円×5/100×4.3295(5年に対応するライプニッツ係数)
で、およそ76万円ほどの労働能力喪失に対応する損害賠償請求が考えられます。
ただし、保険会社の提案は、ムチウチの場合には、労働能力喪失期間2年又は3年で提案してくることが多いです。
なお、始期は18歳が一般的ですが、当事者が高校生くらいの場合には、大学に進学する可能性などを考慮し22歳とすることもあります。
一般論を文章にすると難しいのですが、認定を受けている方のご相談では、その方の場合の請求額を簡単に説明しているので、安心してください。